着物の買取についてインターネットで調べてみると、以下のような意見を目にすることがあります。
「捨てるよりはマシだと思うけど、まともな値段をつけてくれなかった」
「10着近く査定してもらったけど、あまりに安かったので売るのをやめた」
着物の買取は他の衣類に比べると、高値での買取は難しいというのが現実のようです。
しかし、着物といえば「高価なもの」というイメージが浸透しているはずですし、そんな着物がどうして安く買いたたかれてしまうような事態になっているのでしょうか。
今回は、大切な着物を中途半端に手放して後悔しないよう、以下について解説していきます。
- なぜ着物の買取金額は安いのか
- 高く買い取ってもらうことはできないのか
ぜひ最後まできっちり読んでみてください。
着物買取はなぜ安く査定されてしまいがちなの?
まず、着物の買取価格が安いというのは、残念ながら事実です。
しかし、過去に自分がかなり高い値段を出して買ったことや、母親から希少価値がある着物だと聞いていたというような、着物に対する背景が影響しているところが少なからずあります。
自分が理想として考えている買取価格と、現代における着物の買取価格に差が生まれているとことが原因なのです。
なぜ着物の買取が自分で考えていた価格よりも安く査定されてしまいがちなのでしょうか。
そこには大きく分けて3つの理由があります。
理由その①:そもそも保存状態が悪い
年代物の着物を相続で手に入れた、実家を整理していたらたまたま見つかったなど、いろいろな理由をきっかけにして着物を売ることを考えることでしょう。
しかし、古い着物はやはりその古さのぶん、保存状態が悪くなっている確率が高いのです。
たとえば古い着物には、タンスや倉庫に長い年月保管されている間、強烈な湿気や温度変化によるダメージがどんどん蓄積しています。
実際に着物を着たときの汗や汚れがそのままになっていることもあるでしょう。
そうなると、カビが生えていたり、虫に食われていたりなど、いろいろな状態が考えられますが、このような悪い状態では高く買い取ってもらうことはかなり難しくなります。
(クリーニングで対処できる範囲だとしても、着物のクリーニングは数万円の費用が必要なことが多いので、業者側はその負担をしてまで着物を買い取ることはまずありません)
これは、いくらブランドもののバッグであっても、カビや大きな傷があるようなものでは高く買い取ってもらえないことと同じです。
絵画や他の骨董品などであれば、古くとも有名な作家の作品であればそれだけで大変な高値になるということがあるかもしれませんが、着物の場合はその保存状態がしっかり査定に反映されます。
着物の買取にはあくまで着るもの、つまり古着としての考え方があるからです。
理由その②:あくまで古着であるという認識
着物の買取は、絵画や陶器のような美術品と同じようなカテゴリーだというイメージがあるかもしれませんが、あくまで衣類であり、古着だというのが実際のところです。
美術品というより、実用品だという感覚です。
したがって、状態が悪ければ、その悪さのぶんだけ着物の買取金額は低くなってしまいます。
加えて、実用品だとか古着だということは、「次の誰かに着てもらう」ことを目的として買い取られることになります。
たしかに、現代日本においても成人式やお正月に着物を着る文化は根強く残っていますし、「中古の需要はあるはずだからもっと高値が付いてもおかしくないんじゃないか」という気持ちがあることは非常によくわかります。
実際のところ、次の誰かに着てもらえる状態の着物であれば、その着物は比較的納得のいく価格で買い取ってもらえる可能性があります。
しかし、売りたいと思っている着物が、祖母や母などから受け継いだ着物であれば、ひとつ注意しなければならないことがあります。
それは、着物の丈です。
一昔前に比べると日本人は男性・女性ともに平均身長が高く、足がスラっと長い体型の人が増えてきています。
つまり、昔の日本人女性を想定して作られた着物となると、丈が短くて現代人の身体に合わないということになり、中古で再販しようにも購入希望者を探すことが難しくなります。
したがって、あくまで古着である着物の買取は、その金額が思っていたよりも安いとか、買取不可と買取自体を断られてしまう場合が多いのです。
これは、次に解説する理由その③にもつながります。
理由その③:着物は中古市場や販路が乏しい
着物の買取は、リサイクルショップなどに持ち込みで依頼することもできます。
先ほども解説したように、着物はあくまで古着なので、状態がよければある程度の価格が付くこともあります。
しかし、リサイクルショップに持ち込んだ場合、着物に詳しくないスタッフが査定をする可能性が高く、それだけでも本来より安い買取金額を提示されてしまうことになります。
またリサイクルショップに着物を求めにくる客がどれほどいるのか、という点も見過ごしてはいけません。
その中古の着物が売れる見込みが少なければ、さらに買取金額が安くなったり、最悪の場合は買取を拒否されたりということにもなりかねません。
このように着物の買取では、その中古市場にまったく活気がないことや、販路をうまく見出すことが難しいという理由によって、買取金額がどうしても安くなりがちです。
今回はリサイクルショップを例に出して解説していますが、いわば着物業界全体が同じ事態に見舞われています。
※要注目!それでも着物を高く売るために大切な3つのコツ
ここまでは、なぜ着物の買取金額が安くなってしまうのか、ということについて重点的に解説してきました。
安く売りたいと思う人はいないはずですし、高く売るためのコツを知りたいという人のほうが多いはずです。
ここからは「どうすれば着物を少しでも高く買い取ってもらえるのか」という観点から解説し、大切な3つのコツを伝授していきます。
コツその①:査定で重視されるポイントを理解する
着物を高く買い取ってもらうためには、やはり査定で重視されるポイントを的確におさえる必要があります。
まず、新品や未使用といった状態の良い着物であれば、買取金額は高くなります。
しかし、実際には未使用の着物を売りに出すという人は非常に稀です(着物コレクターなら話は別ですが)。
ということは、いかにその着物を良い状態でこれまで保てているかということがポイントになります。
注意したいことは、少し汚れているように見えるからといって、あせってクリーニングに出すことは考えものだということです。
たしかにクリーニングに出せば汚れは落ちるかもしれませんが、着物のデリケートな素材がクリーニングによって傷んでしまうことがあります。
それに加えてクリーニング費用も数万円かかることがあるので、もし買取されないとしたら大損です。注意しましょう。
着物の素材やブランドなど、希少性の高さ
着物をよい状態のまま査定に出すことができれば、次にポイントとなるのは、その着物が本来もっている価値です。
いくら状態がよい着物であっても、大量生産されたものならば、高値での買取は難しいというのが実際のところです。
着物がどんな素材で作られているのか、ブランドものであるのか、そのなかでもどのくらい希少価値があるのか、といったさまざまな価値は、着物がよい状態であるという1つ目のハードルを越えてから、ようやく査定ポイントとなるわけです。
そして、高品質な着物をきっちり高額で買取してもらうためには、付属品などもしっかり揃っているということが大切です。
落款・証紙などの有無
付属品のなかでも、着物には落款や証紙といった、その着物の価値を証明するものが付けられていることがあります。
落款は着物自体につけられた作家のサインのようなもので、証紙はブランドの品質保証書のようなもの、という違いはありますが、どちらも着物の価値を示す大切なものです。
落款は厳密にいえば付属品とは違いますが、落款があればどんな作家が作った着物なのかがわかりますし、証紙があれば、どんなブランドのものなのかということがよくわかります。
つまり、落款・証紙があれば、高価買取してもらえる可能性は一段と高くなります。
落款は印鑑や刺繍のような形で着物に付けられているので、なくしてしまうということは考えにくいですが、証紙は着物とは別の書類となっていることから、年月が過ぎるにつれて別のところにしまってしまったなどのケースが考えられます。
しかし、このような着物の価値を客観的に証明できるアイテムが欠けたまま査定を受けてしまうと、まずプラス評価になることはありませんので、落款・証紙については査定に出す前によく注意して調べておくようにしましょう。
コツその②:礼装や準礼装はまとめて買取してもらう
着物も洋服と同じで、儀式などのフォーマルな場で着ることもあれば、お正月の晴れ着のようなものもあります。いろいろな場面に合わせるためにたくさんの着物が作られているわけです。
たとえば、以下のような着物は格式も高く、買取においても高価査定されることが多いです。
・礼装:冠婚葬祭などでのみ着られる、もっともフォーマルな着物
・準礼装:フォーマルな場でも着られるが、訪問着などとして着てもよい着物
そして、これらの着物は小物や帯などの付属品が付いていることはもちろん、同じ作家で礼装と準礼装などが一続きのセットとして作られている場合があります。
つまり、各着物の付属品が揃っている状態で、なおかつ着物の種類ごとにセットで査定してもらえるなら、高値が付く可能性がアップするということです。
もちろん有名な作家による着物であれば、着物を売ってしまったあとに小物だけが出てきたとしても買取してもらえる可能性はあります。
しかし、すべてセットで売れるほうが確実に高く買い取ってもらえますから、もし有名な作家の着物であれば、できる限りすべてセットの状態でひとまとめにして買い取ってもらえるように準備しましょう。
コツ③:業者による買取サービス(出張買取)を利用する
最後のコツは、これまでの紹介してきたコツを最大限に活かして、できる限り高値で着物を買い取ってもらえるようにすることにあります。
それは、着物買取を専門的に行う業者が展開している買取サービスを利用することです。
先ほども説明しましたが、もし地元のリサイクルショップに持ち込みで買い取ってもらおうとした場合には、買取金額が安くなってしまうことがあります。
それは、専門的なスタッフによるしっかりした査定を受けられる可能性が低いからです。
いくら落款・証紙や付属品が完璧な着物をセットで売ろうとしても、専門的な知識がないスタッフによる査定であれば、結局は「ただのひとまとめの古着」だという評価となってしまうおそれがあるのです。
しかし、近年インターネットをメインに展開されている買取サービスを利用すれば、専門的な知識を持つスタッフが在籍しているうえ、出張買取で自宅まで査定・引き取りに来てもらえるという大きなメリットがあります。
以下に、着物の買取サービスを展開しているおすすめの業者を少し紹介しておきますので、査定の際にはぜひ参考にしてみてください。
バイセル
バイセルは着物の買取実績が豊富で、とても有名な業者です。
問い合わせや申し込みから、エリアやタイミングによっては即日査定に来てもらえるというようなスピード感が非常に魅力的なうえ、出張料なども無料というのがとてもうれしいサービスです。
またバイセルでは、シミがあるとか、かなり古い着物であるというような、他の業者ではあまり積極的に買取ってもらえないようなケースでもしっかり買取ってもらえることがあります。
そのため、買取をあきらめて処分する前に一度バイセルに問い合わせてみる、ということもおすすめです。
買取プレミアム
上記URLにアクセスしてみてすぐ分かるように、買取プレミアムは強く女性目線に立った買取業者です。
買取プレミアムでも出張による査定や買取などのサービスが展開されているのですが、女性査定員が多数在籍しているということで、それだけでも安心して申込できるというユーザーは多いのではないでしょうか。
しかも受付は24時間対応ということで、売りたいと思った時にとりあえず相談できるというのも、買取プレミアムのとてもうれしいポイントです。
ザ・ゴールド
最近ではTVCMでも精力的に宣伝されているザ・ゴールドは、近年急速に実績をつけている買取業者です。
ザ・ゴールドでももちろん出張サービスが展開されていますし、目利きの確かな査定員が駆けつけてくれるというのはとてもうれしいものです。
そこに加えてザ・ゴールドでは、買い取った着物を国内外で販売する独自のルートがあるということで、他社よりも高く買取ってもらえる可能性があるというのが大注目のポイントです。
もし高く買い取ってもらえなくても、大切な着物は再利用できる
高く売れるコツはバッチリおさえているし、「これなら高く買い取ってもらえるはず!」という自信があったとしても、いざ査定を受けてみると思うような値段がつかなかった…というケースに遭遇することは避けられません。
「千円程度の価値だ」と言われたとしても、捨てるくらいなら買い取ってもらいたいと考えて、手放してしまうこともあるでしょう。
でも、ちょっと待ってください。
大切な着物だからこそ、買い取ってもらうこと自体を考え直すというのも、ときには有効な場合があります。
たとえば、着物の生地を利用して、かわいいアクセサリーにするというリメイクを考えてみてはいかがでしょうか。
着物をほどき、その一部を身に着けたり家に飾ったりすることができるアイテムに変えれば、大切な着物をずっと自分のそばに置いておくことができます。
逆に、二束三文の値段で買い取ってもらうとか、捨ててしまっては、大切な着物の行方がどうなるかを知ることはできません。
最近では着物の処分について同じように悩む方が増えていることもあり、着物のリメイクを積極的に受け入れている業者もありますし、自分の趣味として小物を作る方法などがインターネット上で公開されています。
どうしても買い取ってもらいたいという強い事情が特になければ、このように少し目線を変えるだけで、大切な着物と長く付き合っていくこともできるのです。
まとめ
着物の買取金額が安くなってしまうのには、以下のような理由があります。
・そもそも古いものが多く、状態が悪い
・着物といっても、古着である
・中古市場や販路に乏しい
しかし、高く買い取ってもらえる事例も確かにありますし、以下のような査定のポイントをしっかり押さえておけば、高く買取してもらえる可能性は高くなります。
・きれいな状態で保存する
・証紙や付属品などをきっちり揃える
・セットで売れるものはセットで売る
・専門的な知識を持っている業者に査定してもらう
また、どうしても思うような値段がつかないという場合には、手放すことを考え直し、リメイクなどを取り入れるということもおすすめです。
この記事を書いている今(2019年9月)は2020年の東京オリンピックを控えているので、海外から日本文化に対する注目度が高まっているタイミングとなっています。
そのため、着物そのものに対する需要は上向きになっていると言えますし、着物をリメイクした小物や端切れなどをおみやげに求める外国人も多くみられます。
ここから数年後はまたどうなっているか誰にもわかりませんが、処分に悩んでいる着物があるなら、近いうちに買取サービスなどを利用して査定してもらってみるのもよいかもしれません。