日本の伝統文化である着物は、古くから国民に愛され続けている日本の民族衣装です。
もう袖を通さなくなった着物や、タンスに眠ったままになっている着物は、買取業者に持ち込むと高額で買取してもらえることもあります。
着物のことはあまりわからないという初心者の方でも、着物の基本的なことがわかるように買取相場を着物の種類別にまとめました。
着物の買取を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
着物の種類
着物は洋服と同様に、TPOや季節に合わせて着られるものです。
そのため、着物を大きく分類すると、フォーマルなものとカジュアルなものに分けて考えることができます。
ここでは、フォーマルな種類の着物とカジュアルな種類の着物の種類についてご紹介していきます。
フォーマルな着物
「フォーマルな着物」に分類される着物には、
- 黒留袖
- 色留袖
- 振袖
- 訪問着
- 付け下げ
- 色無地
などがあり、フォーマルといってもさまざまな格付けが存在します。
たとえば、既婚女性の第一礼装は「黒留袖」、未婚女性の第一礼装は「振袖」、「色留袖」は黒留袖の次に格式がある礼服とされていますが、5つの家紋が付くと黒留袖と同格になるなど、細かく格付けが決められています。
「色無地」も1つの紋を付けることで礼服として正式な場面で着用できますし、華やかな印象の「訪問着」は、着用時に模様が上を向くようにデザインされています。
また、縫い目に模様が一切かからない「付け下げ」もフォーマルな着物に分類できます。
カジュアルな着物
着物はフォーマルなシーンで着用するものと思われがちですが、ちょっとしたお出かけの際に普段着として着られるカジュアルな着物も存在します。
「カジュアルな着物」に分類される着物には、
- 江戸小紋や小紋
- 紬(つむぎ)
などがあり、型染めの着物である「江戸小紋」は、カジュアルな着物の中でも上品に着られる格のある着物といわれています。
「カジュアルな着物=小紋」と言われるほど小紋はポピュラーなカジュアル着物です。
細かな柄が特徴の江戸小紋とは違い、着物全体に統一された模様が繰り返し入っています。
絹織物として知られている「紬」もカジュアルな着物です。
糸を先に染めてから織られる紬は、ざっくりとしたデザインが渋さと奥深さを出しています。
今ご紹介したもの以外にも、デニム生地の着物やポリエステルの着物、木綿の着物など、家庭で気軽に洗える素材の着物もカジュアルな着物として人気があります。
種類別買取価格まとめ
まずは、着物の種類別に買取相場を見ていきましょう。
着物の種類 | 買取相場 |
留袖 | 5,000〜12,000円 |
振袖 | 10,000〜40,000円 |
訪問着 | 8,000〜40,000円 |
付け下げ | 3,000〜12,000円 |
色無地 | 3,000〜5,000円 |
紬 | 3,000〜10,000円 |
小紋 | 1,000〜7,500円 |
帯 | 4,000〜7,500円 |
長襦袢(ながじゅばん) | 100〜2,000円 |
着物の場合、買取相場といってもかなり買取額に幅があります。
たとえば訪問着は、需要が高く人気がある着物の種類なので比較的高価で買い取られることがありますが、生地の種類がかなり買取価格に影響します。
振袖は、袖の長さによって価格が変わりますし、買取業者によっても価格は変わります。
次に、ブランド品や有名作家の着物、伝統工芸品などの高級着物と呼ばれる着物の買取相場をご紹介します。
高級着物の種類 | 買取相場 |
柿本市郎の着物 | 15,000〜100,000円 |
斉藤三才の着物 | 10,000〜45,000円 |
志村ふくみの着物 | 170,000〜230,000円 |
丹下雄介の着物 | 25,000〜100,000円 |
紬屋吉平の着物 | 20,000〜150,000円 |
中村勇二郎の着物 | 10,000〜65,000円 |
羽田登喜男の着物 | 30,000〜200,000円 |
藤井寛の着物 | 40,000〜180,000円 |
松井青々の着物 | 15,000〜190,000円 |
由水十久の着物 | 70,000〜230,000円 |
吉野間道の着物 | 35,000〜165,000円 |
三越や高島屋などの百貨店オリジナル着物 | ノーブランドの着物に5〜20%上乗せ |
加賀友禅の着物 | 10,000〜90,000円 |
京友禅の着物 | 5,000〜55,000円 |
宮古上布の着物 | 5,000〜100,000円 |
大島紬・米沢紬・牛首紬 | 10,000〜500,000円 |
本場黄八丈の着物 | 40,000〜150,000円 |
千總の着物 | 30,000〜220,000円 |
龍村美術織物 | 10,000〜70,000円 |
保存状態や証紙、落款の有無などによっても価格は変動しますが、有名作家や人間国宝が作り出した着物は、大変高価な買値がつくことがあります。
着物の買取査定で高額査定になるポイント
着物にはさまざまな種類がありますが、買取査定の際に査定員がチェックするポイントがいくつかあります。
ここで紹介するポイントを押さえている着物が、高額で買い取られる基準となりますので、事前に自分でもチェックしておきましょう。
色や柄が人気のもの
着物も洋服と同じように、年代によって流行の色や柄があります。
特に、振袖は数年ごとに流行が変わる着物といわれており、古すぎる柄の場合は安値で査定される可能性があります。
また、需要のある色であることも査定額に影響します。
たとえば赤やピンクなど派手目の色は若い女性向けという印象が強いですが、落ち着いた色の草色、薄紫色は年代問わず長く着られるので需要が高い色といえます。
留袖の場合は、ほとんど流行が変わらず、伝統的な柄が好まれることから古い着物でも買取価格に影響しにくいと考えられます。
作家着物であるか
人間国宝に認定されている有名な着物作家や、老舗の呉服屋が仕立てた着物は高価買取される可能性があるでしょう。
有名な着物作家には、高級着物の買取相場の表で紹介した作家のほかに、
- 北出与三郎
- 北村武資
- 久保田一竹
- 木村雨山
- 古賀フミ
などが挙げられます。
老舗の呉服屋は、
- 銀座越後屋
- ゑり善
- 銀座志ま亀
などが挙げられます。
作家着物や老舗の呉服屋が仕立てた着物には証紙などがあるはずですので、そちらもあわせて用意しておきましょう。
有名産地の着物であるか
着物には産地ごとに特徴のある技法で作られています。
有名なものでは、大島紬や牛首紬、結城紬などの三大紬や、加賀友禅・京友禅などの友禅着物、越後上布や近江上布、宮古上布などの三大上布などが知られています。
産地も証紙に記載されていますので、証紙があれば高額買取が狙えるでしょう。
生地が絹100%であるか
近年では、自宅でも洗えるポリエステルやデニム生地の着物もありますが、100%絹でできたものは、正絹の着物として高額買取対象となります。
しかし、正絹の着物は紫外線が当たると黄ばむことがあるので、あくまで高額買取対象となるには保存状態が良好でないといけません。
着物を専用の畳紙で包み、和箪笥で保管している状態が好ましいです。
また、絹の重さを表す「匁(もんめ)」が大きいほど、買取価格が高くなる傾向にあります。
サイズが極端でないか
着物のサイズも買取価格に大きく影響します。
現在の成人女性の平均身長が158cm前後といわれていることから、サイズは、多くの人が仕立てられる身丈160cm以上、桁丈65cm以上あることが良いとされています。
サイズは絶対条件ではありませんが、平均から極端に離れたサイズは減額対象になる可能性もあるということを覚えておきましょう。
売りに出す季節のタイミングを考える
案外見落とされがちですが、着物を少しでも高く買い取ってもらうには売りに出す季節のタイミングを見定めることも大切です。
たとえば夏に着る着物は、シーズンに入る前の春に売るほうが高く買い取ってもらえますし、逆に冬に着る着物は、秋に売るとよいとされています。
このように季節によって同じ着物でも買取価格が変わってくるので、タイミングを見て売ることをおすすめします。
着用回数や保存年数が少ない
着物は着用回数が少ないものや購入から10年以内のものは、高く買い取られる可能性があります。
未使用品の着物で仕付けがしっかり付いているものは、特に高値になるでしょう。
もう着ないと思われる着物であれば、早めに買取に出すことが買取価格を高くする秘訣です。
マイナス査定になる要素
購入時に高価で上質な着物であったとしても、売るときの状態によっては買取金額が下がってしまうことがあります。
マイナス査定になる要素をご紹介しますので、買取査定に出す前に確認しておきましょう。
紋付きの着物
着物は紋付きでも買い取ってもらえますが、地域によって紋の入れ方が違ったり家系によって紋のデザインが違ったりするので、着る人が限られてしまうことが理由で買取価格が下がる要因になります。
証紙や落款がない
有名作家が仕立てた着物や有名産地の着物を買取に出す場合、証紙や落款がないと着物の価値を証明できないので、買取価格が下がってしまいます。
祖父母や親世代の古い着物の場合、証紙や落款がないという方が多いですが、保管してあるのであれば着物と一緒に買取に出すようにしましょう。
保存状態が悪い
着物は、とても繊細なものです。
保存状態が悪いとシミや色落ち、虫食いの原因になります。
シミや色落ち、虫食いなど目に見える着物の劣化や破損だけでなく、防虫剤のにおいが着物に付いていたり、湿気でカビが生えてしまっていたりすると買取価格に大きく影響してしまいます。
箔がある着物は、箔部分の変色がないかなど細かな部分までチェックしておきましょう。
着物を少しでも高く買い取ってもらうコツ
着物を少しでも高く買い取ってもうために、少し手間はかかりますが誰でもできる方法をご紹介します。
優良な買取業者に依頼する
どんなに素晴らしい着物を持っていても、悪質な買取業者に依頼してしまうと安く買い取られたり、後のトラブルになったりすることがあります。
したがって、業者選びは慎重にしなければなりません。
着物の買取業者は、インターネットで調べるとたくさん出てきます。
ホームページなどを見て、信頼できそうな買取業者を念入りに調査しましょう。
一番おすすめの方法は、何社かピックアップして相見積もりをとることです。
見積もりの内容や担当者の対応などもしっかりと見て業者選びをすることで優良業者を見極められます。
できるだけ早く買取に出す
昭和初期以前に作られたアンティーク着物と呼ばれる着物を除き、ほとんどの着物は購入してから時間が経っていないもののほうが高く売れます。
そのため、着なくなった着物はすぐ買取に出すのがおすすめです。
時間の経過とともに査定額は下がる一方ですので、思い立ったらすぐに査定だけでもしてもらうようにしましょう。
証紙がある場合は必ず付ける
着物の価値を証明するために必要な証紙は、あるのとないのとでは買取価格が大きく違います。
証紙は、どのような着物でも必ず付いているものではありませんが、伝統工芸品や有名な作家の着物などには付いています。
証紙は、産地や作家、織り方や染め方など大切な情報が記載されているものですので、できるだけ綺麗な状態で保管されていることが望ましいです。
古い着物は証紙がなくなっている場合もありますが、できるだけ探して着物と一緒に査定に出せるように準備しておきましょう。
シミや汚れは無理に取らない
シミや汚れは買取査定に響くので、買取に出す前にクリーニングして取っておこうと考える方がいらっしゃいますが、無理に取らないほうがよい場合もあります。
着物のシミや汚れ取りは、かなり専門的な技術が必要な分野です。
下手にクリーニングに出してしまうと生地を傷める原因になってしまい、シミや汚れが付いた状態よりも買取査定が下がるおそれがあります。
査定前日の準備
長年タンスにしまい込んでいた着物は、防虫剤やカビ臭が付いてしまっていることが多いです。
査定してもらう前日までには必ず陰干しをして、湿気や臭いをできるだけない状態にしておきましょう。
紫外線に当たると色あせの原因になるので、直射日光には当てないようにすることが大切です。
風がよく通る場所にハンガーに掛けて陰干しするのがよいでしょう。
もし着物を干すスペースがない場合は、タンスの引き出しを開けておくだけでも効果的です。
着物買取業者の選び方
着物買取業者は数多く存在しますが、優良な買取業者ばかりではありません。
買取業者の買取方法の例として、直接店舗に出向いて着物を買い取ってもらう「持ち込み買取」や、買取業者が自宅まで来てくれる「出張買取」、業者と直接会わずに宅配で送って買い取ってもらう「宅配買取」などがあります。
買取業者が家の近くにある場合は持ち込み買取もできますが、買い取って欲しい着物が多い場合や店舗まで行けない場合は、出張買取や宅配買取を実施している業者を選ばなければなりません。
よい業者を選ぶためのポイントとしてまず確認すべきことは、着物買取の専門業者であるかということです。
着物専門で買取をおこなっている業者の多くは、買取実績がたくさんあり、着物の知識が深いのです。
買取実績が少ない業者や着物の扱いになれていない業者を選ぶと、適切な着物の買取価格がつかないことがあります。
買い取られた着物のキャンセルができるクーリングオフが利用できる業者や、着物の買取に関して何でも相談できる相談窓口が設置されている業者は優良な業者と判断できるでしょう。
まとめ
・買取価格は着物の種類や状態によって大きく左右される
・絹100%は高く買い取ってもらえる
・証紙や落款がある場合は一緒に査定してもらう
・査定前日までには陰干ししておく
・買取業者選びが重要
着物は、少しの工夫で買取価格をアップさせることができます。
家に眠っている古い着物も、もしかしたら高値が付くかもしれません。
着なくなった着物は、できるだけ早く査定してもらい買い取ってもらうことをおすすめします。