時が流れるにつれてものの価値観や流行が変わってゆき、譲り受けた着物や帯を買取ってもらいたいと考える人が増えています。
そこで今回は、着物の帯について種類やジャンルごとに簡単にまとめ、それらの買取相場について解説していきます。
合わせて、「どうすれば帯を高く売れるのか?」という気になるポイントについてもしっかり押さえて解説しますので、帯を売ろうとお考えの方は必読です。
着物の帯にも種類がある?5種類の帯を紹介
着物の帯というと、その形をイメージできる方は多いことでしょう。でも、帯の種類を知っている人は少ないですし、簡単に説明できる人はほとんどいません。
着物は儀式などのフォーマルな場で着るものです。そのため、TPOに合わせて作られています。そのため、着物に合わせる帯についてもいろいろなバリエーションがあるのです。
ですので、ここでは帯の違いについて形やその価値に触れながら解説していきたいと思います。
袋帯
袋帯とは、2枚の生地を縫い合わせて袋のような形に仕立てた帯のことです。
表地には華やかな柄がありますが、裏地は無地となっています。長さは約4mを超えるものが多く、とても長い帯です。
袋帯は「礼装用」と呼ばれるフォーマルな着物に用いられることが一般的で、結婚式の留袖や成人式の振袖などにも使われます。
そして、袋帯は「幸せが重なりますように」という意味を込めて「二重太鼓」や「飾り結び」という長さが必要な結び方にされることが多いです。そのため、長い帯になっているのです。
名古屋帯
名古屋帯は袋帯を少し簡単なつくりにしたもので、袋帯よりもカジュアルな場面に対して使用できる帯です。
その長さは短めで、約3.4mから3.8mのものが多くなっています。
長さが短い分、名古屋帯は軽いです。また、柄や染め方も豊富でフォーマルな場面に限らず気軽に使用することができます。
ちなみに名古屋帯の仕立て方は一通りではありません。
手先を折った形になっている名古屋仕立がポピュラーなのですが、中には袋帯と同じような形をしているもの(おそめ仕立て、通し仕立てなど)があります。
つまり、「この帯はどこも折られていないから、高級な袋帯なんだな」という判断を簡単に下すことができないため、注意する必要があるのです。
ちなみに、名古屋帯は「一重太鼓」という結び方が多く、これは「不幸が重なって起こらないように」という意味を持ちます。
すなわち、葬儀において名古屋帯が使われることが多いのですが、これは明確に定められたルールではありませんので、気にしすぎることのないようにしましょう。
半幅帯
半幅帯とは読んで字のごとく「幅が半分の帯」です。
「何にくらべて幅が半分なのか?」というと、先ほど解説した袋帯や名古屋帯にくらべて幅が半分なのです。
袋帯や名古屋帯は、いわばグレードの高い帯なのですが、それに比べると半幅帯は普段着などでもっと気軽に利用することを目的とされた帯です。
半幅帯は軽くて薄いために結びやすく、さまざまな結び方で着物を楽しむことができます。
また、半幅帯の柄はシックなものから個性的なものまで幅広くつくられているため、若い世代でも比較的手に取りやすく、いろいろな着物と組み合わせて楽しめることが魅力です。
丸帯
丸帯は最上級を誇る帯で、現代では花嫁の白無垢などに合わせる場合しか使われないとされています(一部舞妓さんが使用することはあります)。
そもそも礼装といえば昔は丸帯のみしか使用されていなかったのですが、丸帯はとても重く、また長すぎて取り回しがしづらいというのが難点でした。そのため、袋帯が開発されたという経緯があります。
丸帯は、帯の両面に絵柄が入っているため、どんな風に結んでも華やかさが際立ちます。また、帯が緩んでいたとしても常にきれいに見えるようになっています。
角帯
これまで紹介してきた帯は基本的に女性用のものでしたが、この角帯は男性用の帯になります。
角帯の長さは約4くらいで、絹や綿などさまざまな素材のものがあります。
男性用の帯は女性用のように細分化されていません。そのため、角帯があればフォーマル&カジュアルに幅広く使用できます。
ちなみに男性用の帯は、この角帯と兵児帯(へこおび)という帯の2種類しかありません。
兵児帯は格式的に角帯に劣りますし、基本的に角帯を使用すると失礼にあたるというシーンはありません。
そのため、男性用の帯としては角帯がオールマイティに使えて重宝されているのです。
帯は高く買取してもらえる?
帯の種類はわかっていただけたと思います。では、どのような帯が高額に買い取ってもらえるのでしょうか。簡単にいうと以下の3つの帯が高く買い取ってもらえる可能性があります。
- ワンタッチ帯
- 人気作家の仕立てた帯
- 人気ブランドの帯
詳しく説明していきましょう。
ワンタッチ帯
ワンタッチ帯とは、最初から結び目の形がきれいに作られている帯のことです。そのままの形で使用できるばかりか、ゴムベルトによって調節できるという非常に便利な帯です。
着物の帯は結び方が難しく、慣れない人にとっては時間も手間もかかってしまいます。
しかし、ワンタッチ帯であれば、ほぼ巻きつけるだけに近い感覚で使用できます。また、現代においてとても人気のあるオシャレアイテムとして重宝されています。
そのため、ワンタッチ帯は特にブランド物などでなくとも、3,000円~5,000円ほどの高値で買い取ってもらえる場合があります。
もしワンタッチ帯をお持ちの場合は、ひとまず査定してもらうことをおすすめします。
※ただし、ポリエステル素材のように、もとから安価なものは買取不可とされることもありますので注意してください。
人気作家の仕立てた帯
着物や帯の世界にも人気の作家というカリスマがいます。そして、人気作家に手がけられたものは「作家物」と呼ばれています。
作家物は希少性が高く、良質なものばかりで、非常に高価なものが多いです。
中には人間国宝に選ばれた作家が作った帯もあり、高いものであれば数万円~数十万円という高値がつくこともあります。
また、希少性という点から、現存している作家より、すでに亡くなった作家の帯のほうが高値で取引されやすいという傾向もあります。
人気ブランドの帯
有名な作家が作った作家物だけが高値で買取されるというわけではありません。帯のブランドそのものに人気がある場合にも、高値で買い取ってもらえる場合があります。
たとえば、京都エリアでは西陣織や川島織物が有名です。福岡エリアでは博多織などが人気ブランドとして認識されており、高価買取されます。
ほかにも群馬県桐生市で生産されている絹織物である桐生織も、西陣織と同等の人気があるといっても過言ではありません。(京都の西陣、福岡の博多、群馬の桐生は帯の3大産地とも言われています。)
また、これらのブランドの歴史は非常に古いです。桐生織は奈良時代から受け継がれている織物となっています。
そのため、帯ははっきりとした特定のブランド品ではなくとも、織物などが有名な産地で作られている場合には高値で買い取ってもらえる可能性があります。売りたい帯があるときは産地をよく注意して調べてみることをおすすめします。
帯の買取相場はいくら?
インターネット上で帯の買取について調べてみたとき、「帯や着物の買取は安い」「どこで査定してもらっても大した値段にならない」というような意見を目にすることがあります。
では、実際のところ、帯の買取相場はどれほどのものなのでしょうか。
いろいろなケースや意見を踏まえて相場を調べてまとめてみました。
作家物の帯 | 有名ブランドの帯 | ノーブランドの帯 |
~10万円前後※ | 1万円~5万円 | ~5,000円 |
※人間国宝や超有名作家によるものの場合、30万円以上の値段がつくこともあります。
もちろん、この相場はあくまでも一例ですし、丸帯なのか名古屋帯なのかといった帯の種類によっても前後します。
また、実際に査定に出す場合には、帯の保存状態によって査定額がかなり左右されることにもなります。
有名ブランドや作家物だから絶対に高値で買取ってもらえるというわけではないことに注意してください。
逆に、ノーブランドの帯でも保存状態がよければ思いの外高い値段で買取ってもらえることもあります。
帯の買取金額をアップさせるためのコツ
帯を手放そうと決心し、いざ査定に出すとき、「ちょっとでも高い値段で買取ってもらえたらいいなぁ…。」という気持ちを誰しもが抱えているはずです。
そこで、帯の買取金額を少しでもアップさせるために、気を付けるべきことや大切なことについてまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。
帯の汚れは無理に取らない
当然、帯は汚れているよりもきれいな状態のほうが高く査定してもらえることになります。
でも、汚れがあるからといって、無理に自分で汚れを取ろうとするとか、クリーニング店に持ち込むというような行為は避けてください。
帯のクリーニングには特殊な技術や専門的な知識が必要です。
自分がインターネットなどで調べたシミ抜きの方法を試すことや、一般的なクリーニング店員に作業を依頼することは、帯の汚れを取るどころか、生地を劣化させてしまうことにもなりかねませんので注意しましょう。
証紙がある帯は証紙も出す
もし、帯が高級ブランドによるものだとしたら、証紙という保証書のような紙がついていることがあります。
証紙には、産地や伝統工芸品であることの証明書であり、最近ではインターネットで作者のデータなどを検索できるようなシリアル番号がついていることもあります。
証紙は、その帯が本物の高級ブランド品であるという証拠になるため、証紙がある帯は高く買い取ってもらう確率が高くなります。
証紙だけに限らず、帯以外の小物や着物本体なども持っている場合はセットで買取にだしてみましょう。単品で売る場合よりも高い値段で査定してもらうことができます。
早めに買取してもらう
手元に帯があって、売ってしまいたい気持ちになりかけているならば、素早く売る決断をしたほうが高く買い取ってもらえる可能性があります。
なぜなら、帯は絹などの高級な素材で作られていることが多く、きれいなままで保管しておくというのがなかなか難しいからです。
湿気によるカビや虫食いが起こってしまっては買取価格は下落します。
なかなか売る決心がつかない場合でも、とりあえず査定に出してみるというのはなかなか有効な判断材料になります。
着物買取専門業者に依頼する
帯をできるだけ高く買い取ってもらうためには、その帯のもつ価値を正しく判断してもらわなければなりません。
いくら人間国宝の手による最高級の帯があったとしても、査定する人間に価値を正しく判断する知識がなければ、数千円程度の値段をつけられてしまって大損してしまうということもあり得ます。
そのため、幅広く買取を行っているリサイクルショップなどの店頭に帯を持込むことはおすすめできません。
やはり、着物や帯に対する専門的な知識をしっかり持っているスタッフに査定されることが重要なのです。
また、最近では自宅まで出張買取してもらえる業者も増えてきています。査定金額に納得したなら即現金でそのまま買取を完了できます。
もし納得がいかなければキャンセルもできます。キャンセル料もかからないというところがほとんどですので安心してください。
以下におすすめの出張買取業者を少しだけ紹介しておきますので、業者選びに迷った際には参考にしてみてください。
バイセル
バイセルは、近年急成長がめざましい出張買取業者です。
どこよりも高く査定してもらえたというレビューが目立つだけでなく、状態の悪い帯や着物にもしっかり値段をつけてもらえるというおすすめの業者です。
買取プレミアム
買取プレミアムでは、24時間買取の受付を行っているばかりか、最短即日対応というスピード感が人気を博しています。
しかも、利用を迷う女性客に対して女性査定員を確実に派遣できるという心遣いも人気の底上げとなっています。
ザ・ゴールド
実店舗でも帯や着物の買取を行っているザ・ゴールドは、中古着物の販路を独自で確保しているため、ほかの業者とは一味違った査定価格が魅力となっています。
上記URLにアクセスすると、実際にザ・ゴールドを利用したユーザーのレビューが動画としてアップされていますので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
袋帯や名古屋帯など、帯にもたくさんの種類があり、その用途や価値もまちまちです。買取にあたっては、作家物や有名ブランドの帯が高値で買取される傾向にあります。
最近は着物の中古販売が活発化し始めており、デザインがよいとか使い勝手がよいということで、もともとが高級な帯でなくとも意外な値段で買い取ってもらえるということがあります。
逆にどんなに有名な作家物の帯であっても、その状態が悪ければ買取金額は大きくマイナスとなってしまいます。
今回の記事を参考にしていただき帯の知識を吸収し、損することなく上手に買取してもらえるようになっていただければ幸いです。