生きている間に自分の物を整理する「生前整理」
生前整理には大きく分けて2つに分けられます。
1つ目は、これから使う物・使う予定のない物に分類し、自分が亡くなったときのために自分の所有物を減らしておくこと。
2つ目は、自分の資産を誰に相続するか、また相続税をどのように節税していくかを考えて、予め対策をしておくということです。特に、死後に行われる相続と、生前に行う贈与では税制が異なるため、早いうちから対策をしておくことは大きな節税に繋がるというメリットがあります。
自分の体が健康かつ余裕があるうちにしっかりと整理しておきたい、と考えている方を中心に生前整理に取り組む人が増えています。また、インターネットの普及により人が亡くなった後にその人の資産や、毎月支払われている課金サービスなどが不透明になりやすい等の背景から、必要とされること自体も増えています。
このページを見ていただいている方の中には、「生前整理の具体的なやり方を知りたい」「生前整理にかかる費用が気になる」など、生前整理について様々な疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は「生前整理が注目される理由」や「生前整理の方法」、「老前整理と遺品整理との違い」や「エンディングノート」、「生前整理を業者に依頼した時の料金」など生前整理についてまとめてご紹介したいと思います。
これから生前整理を行いたいと考えている方はもちろん、これからの人生を考えて生前整理に関心を持っている方にもオススメです。
生前整理に注目が集まる理由
ここでは、生前整理に注目が集まる理由についてポイントを絞ってご紹介します。
-理由①病気や事故などで突然に亡くなってしまうリスクへの考え方の変化によるもの-
生前整理が必要な理由の1つとして、病気や事故などで突然亡くなってしまうリスクが挙げられます。
生活をしていると、不慮の事故や病気などで急に亡くなってしまう可能性があるものです。急に亡くなってしまった場合、残された人へ伝えたい事も伝えられず、葬儀の段取りや生活場所の手続きなど、家族や他人に迷惑を掛けてしまう事になり、本人が望んだ形にはならないケースが発生してしまいます。
このようなリスクに対して、残された人に前もって伝えておきたい事・やっておいて欲しい事などをしっかり整理し、伝えておきたいと考える人が増えているというのが生前整理に注目が集まる理由の1つになっています。
-理由②インターネットの普及により、 目に見えない遺品の整理が必要になったこと-
別の理由としては、インターネットの普及で目に見えない遺品整理の必要性が出てきたことが挙げられます。
通帳や写真など目に見える物は整理が行いやすいですが、亡くなった方が持っていたブログやSNSのアカウント、ネット銀行や 有料サイトのログイン情報など「デジタル遺品」と呼ばれているものに関しては、所有している本人しかログインできず、整理ができないといったケースが非常に多くなっています。最近ではデジタル遺品の整理でトラブルになる事も多くあるようです。
例をあげると、以下のようなケースが挙げられます。 ・故人が所有していたパソコンのパスワードが分からず、月額課金されているコンテンツの解約ができない。 ・保存されていた電話番号やメールアドレス、ダウンロードした音楽や動画、撮影した画像などのデータが消去できないことで売却も廃棄もできない
当然このようなことは避けたいと考える人が多く、生前整理が注目を集める理由となっているのです。
生前整理の必要性
ここでは生前整理の必要性についてご紹介します。
-自分の意志で遺品や相続等の死後の扱い方を決める事ができる- まず初めに紹介する生前整理の必要性ですが、自分の意志で遺品や相続等の死後の扱いを決める事ができる点が挙げられます。
遺品整理は自分が亡くなった後で、自分の身内や親族が遺品を整理して使えそうな物・不要な物に分類して、不要な物は処分や売却などをする事を言います。親族に遺品や相続等の扱いを決められる事に抵抗がない方はともかく、親族や他人に決めて欲しくないと考えている方もおり、そのような方から生前整理は必要があると考えられています。
生前整理を実施すれば親族や他人に本人の意思と反した決められ事をされる事がなくなります。もちろん例外はあるかもしれませんが、「これは今後も自身で使用するから処分しないでおこう」「これは使う見込みがないから処分しよう」「売却して得たお金を自分の子供や孫に渡そう」など、自分で所有物の扱いを決めたい方に生前整理は特におすすめです。
-自分が他界した後の家族の負担を軽減できる-
別の生前整理の必要性として、自分が他界した後の家族の負担を軽減できるという点が挙げられます。
生前整理がもたらす大きなメリットでもあるのがこちらの理由です。少し重たい話になりますが、自分が亡くなった後にはお通夜や葬儀だけでなく、家の相続や売却、生前に契約していたサービスの解約など様々な手続きが必要になります。
生前整理で予め「できる事」「やっておいて欲しい事」をまとめておくと、亡くなった後に家族がバタバタする事もなく、スムーズに身辺整理が済みます。
とある芸能人が生前整理を行なった時にも「自分が死んだ後に家族が慌ただしく動き回る姿を想像すると、大きな不安に駆られたので生前整理をしました」と話していた様に、大事な家族の為にも生前整理を行ないたいという人が年々増えているのにはこのような理由があります。
-死を意識して、よりよい人生を送れるように- 生前整理を実施する事で必然的に自分の死を意識することになり、結果としてこれからの人生をよりよく過ごせるということに繋がるといった側面があるのも事実です。
所有物の整理を通じて今までの人生を振り返る事ができ、手元にある物を必要な物・不要な物と仕分けをしながら、今までに経験した出来事を思い出すことができます。 不要なものをなくす事でより重要なものへと人生の時間を使用することにも繋がります。
それと同時に、人生の終わりを意識することで家族などに残しておきたいことは何かと考える事ができます。生前整理は自分の人生の振り返りとこれからの人生を同時に考えられるイベントにもなっているのです。
生前整理 / 老前整理 / 遺品整理の違い
ここでは、生前整理と老前整理、遺品整理の違いをご紹介します。整理する事は共通していますが、大きく「生きている間」「亡くなった後」に分けられるのが特徴です。
-生前整理とは- 「生きている間」に行う自分の遺品や資産、不用品などの処分のことを生前整理と呼びます。
環境の変化がキッカケで始める人が多く、「家族に負担を掛けないため」「自分の現在の財産を把握する」「財産分与を自分の希望通りにする」「残りの人生をどう生きていくかを考える」など、人によって生前整理を始める目的は違います。
メリットはたくさんあり、以下のようなものが挙げられます。
・残された人が困らず、家族等の負担を減らす事ができる ・いざという時に焦らなくて良い ・時間的なゆとりがあるのでゆっくり考えて判断する事ができる
自分の身体と心に余裕がある時に生前整理を行なうことで、上記のようなメリットがある事に加え自身の整理が進み、不安が減り、余生をより充実させることにも繋げることもできるのです。
-老前整理とは- 老前整理とは、実施するタイミングとしては、生前整理と同じく「生きている間」ではあるものの、体が衰え、ある程度死を意識した後に行うものを示します。
老前整理は生前整理に取り組む「時期」により生じる概念ですが、老いを感じるのはそれぞれの主観によるので、時期の明確な定義は難しくなっております。老いを感じるタイミングとしては「自分、もしくは配偶者が病気になった時」「同級生が亡くなった時」などが例に挙げられます。
老前整理は生前整理と行なう内容に大きな違いはありませんが、整理する人が本人だけでなく家族と一緒に行なうというのが大きなポイントです。
-遺品整理とは- 遺品整理を行うタイミングは、「亡くなった後」になります。
遺品整理を始める時期は故人がどこに誰と住んでいたかによって変わります。 持ち家の場合や家族と同居していた場合は、亡くなった人の部屋をそのままにしておいても特段問題は発生しません。 親族で集まって遺品整理を行なうケースが多いので、一般的には四十九日の法要など関係者が集まりやすいタイミングにて行う事が多くなっております。
気をつけなければならないのは、故人が家族とは別かつ賃貸住宅に住んでいた場合です。 この場合、賃貸住宅との契約期間があり、契約上14日もしくは30日以内に引き渡しの必要があるケースがあるので、早急に実施する必要があります。
また、無駄な家賃を払う事がないよう、賃貸契約の手続き等も早めに行なう必要があります。遺品整理と同時に、「部屋の片づけ」「遺書や遺言をもとに相続手続き」等も同時に進めていく必要があるので、故人が家族とは別かつ賃貸住宅に住んでいた場合には注意が必要です。
・生前整理のやり方 ここまでは生前整理の基礎知識や老前整理や遺品整理との違いをご紹介しましたが、ここでは生前整理のやり方を詳しくご紹介します。
-やり方①お金の取り扱いについて-
生前整理を始める上で大事なのは、お金の管理です。
貯金や株券、家賃収入などのお金も、自分が亡くなった後の取り扱いを考えなくてはいけません。預金口座に関しては、遺族が責任を持って解約して払い戻しを受けますが、払い戻しを受けた後の貯金も管理してもらう事になります。
遺言書などに亡くなった後の資産を含めたお金の振り分け先を記載しておくと、遺族間でのトラブルに発展しやすいお金の事もスムーズに済ませることができます。
-やり方②大切な物の扱いについて- 大切な物の管理も生前整理では欠かせません。
趣味で集めていたものや、自動車やバイクなど毎日の生活で欠かせないものは、亡くなった後に誰かに譲るか、売却してお金に代えるかも生前整理で決めておきましょう。お金と同じく、遺言書や後程ご紹介するエンディングノートに詳しく書いておくと安心です。
-やり方③毎月引き落とされている料金などの支払いについて-
現在契約している様々な引き落とし料金も、生前整理で管理する必要があるものの一つです。
携帯電話や電気代、インターネット接続料や保険料など、亡くなった後にも関わらず自動的に引き落とされると、無駄な出費になりかねません。
生前整理を行なうタイミングで、これからも必要なサービスか不要なサービスを見極める事で、亡くなった後の無駄な出費を押さえるだけではなく、解約手続きも簡略化することが可能です。
-やり方④大切な人へのメッセージについて- 大切な人へ残しておきたいメッセージも、生前整理を行なうタイミングで考えてみましょう。
今まで一緒に過ごしてくれた事への感謝の気持ちや、大切な人へ伝えておきたいこれからの人生で大切にしてもらいたい事など、日頃はなかなか伝えられない気持ちも書き残しておきましょう。
自分が亡くなった後で遺品整理を行なう遺族が、その手紙を見つけて読んだ時の気持ちを想像しながら書きましょう。
・今話題のエンディングノートとは? -エンディングノートとは- エンディングノートとは、前もって自分の家族や周りの人に伝えたい事を書き留めておくノートや手紙です。
自分が大きな病気をわずらってしまった時に延命措置を希望するかといった医療面や、介護や葬儀、遺産相続やお墓など、様々な手続きについて質問項目で書いてあるものが多く、このノートの内容を埋めていけば生前整理がある程度できるという便利なものになっています。
-エンディングノートはどんなフォーマットになっているのか-
エンディングノートのフォーマットは、質問形式になっていたり自由に書ける様に空白面が多く取っていたりと、発売しているメーカーによって違いがあります。
最近ではエンディングノートを無料で配布している企業や自治体も増えてきましたので、自分が伝えたい事がフォーマットに書いているかどうかなど、見比べてみるのもオススメです。
-エンディングノートを使うメリットは?- エンディングノートを使うメリットは、これまでの人生の振り返りと、家族に自分の気持ちを託せる事です。
自分の素直な気持ちを書けるのがエンディングノートの大きなメリットなので、今まで経験した事への感想はもちろん、残された家族への感謝の気持ちと併せて自分の気持ちを託せます。
具体的には葬儀の流れや葬儀に呼んで欲しい人、遺産の振り分け先などもエンディングノートに書けます。
-おすすめのエンディングノートは?-
口座や、クレジットカード、介護やお墓についfてなど必要なことは揃っているのが『書いて安心エンディングノート』生前整理に必要な項目はすべて網羅しています。
手続きについて書いてあるものではあるので、遺族への気持ちをつづるようなお手紙とは違いますので、あくまで事務的なものとして活用するのが良さそうです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4074220148?tag=mybest_presses_7188-22 ・株式会社リードライフが運営する『生前整理アプリ』
http://www.lead-life.co.jp/seizen/?shopCode=000001 紙のエンディングノートだけでなく、スマートフォンを使いこなしている方には生前整理アプリもおすすめです。その中でも、株式会社リードライフが配信している「生前整理アプリ」が注目されています。
-アプリの中にある機能- 備忘録としても使える「マイメモリー帳」、毎日の通院に欠かせない「お薬手帳」、気軽に情報交換できる「お悩み掲示板」など、生前整理に役立つ項目が準備されています。
-アプリに従うだけだし、今始められるから簡単!- 生前整理アプリは無料版と有料版が配信されています。先程ご紹介した項目は無料版で楽しめますが、有料版では「エンディングノート作成」「 動画や画像の保管」「財産やパスワードなどが保存できる機能」など、充実した項目が楽しめます。
・生前整理は業者に任せるべきなのか ここでは、生前整理を業者に任せるべきかどうかついて考えていきます。
-業者はどんなことをしてくれるのか?- 生前整理を行なっている業者は、荷物の整理や不要な物の処分や売却など、生前整理の中でも大きな作業を代わりに行なってくれます。年齢を重ねて重たい荷物を移動させたりするのが難しいと感じたら、無理をせず業者へ生前整理を依頼する事をオススメします。
-業者の料金の相場は?- 料金の相場は、生前整理を行なう部屋の大きさによって変わります。
1K 30,000円〜 1LDK 60,000円〜 2LDK 90,000円〜 3LDK 140,000円〜
部屋の大きさだけでなく地域によって若干相場が変動します。例をあげると1K・36,000円・3DK・160,000円などが平均的です。ただし、整理する荷物の量や部屋の状況などの細かい条件によって変わってくるので、前もって見積もりを取ることをオススメします。
-良い業者、悪い業者の見分け方は?- 良い業者と悪い業者の見分け方としては、生前整理アドバイザーなど生前整理に関する資格を持っているか、不用品の買取や処分、掃除など整理だけでない幅広いサービスを展開しているか、相見積もりに対応しているかなど、様々な見分け方があります。
これらのポイントを押さえている業者は、良い業者として認識して問題ありません。整生前理業者の中には悪い業者も存在しているのでこれらのポイントを必ず確認しましょう。
-業者に頼むほうがいいのか?-
自分でもできそうな分量であれば、業者に依頼する必要はありませんが、重たい大きな荷物などがあるが手伝ってくれそうな人がいない状況の場合は業者に頼むことをオススメします。
すぐに不用品を回収してほしい場合は業者に頼むのもいいですが、不用品の処分だけが目的の場合は、大きいものは粗大ごみとして出し、お金になりそうなものは売却をする。というように対応するのが賢いかもしれません。
・一般社団法人生前整理普及協会が認定する生前整理アドバイザーに相続について相談をすることもできます。 生前整理には、生前整理アドバイザーという資格があることをご存知でしょうか?現在は様々なジャンルの資格がありますが、生前整理に資格がある事は意外にも知られていません。
こちらは不用品の回収ではなく、資産をどのように相続するのか。という内容がメインの資格になっています。資産をお金として相続するのか、土地や株券等の資産として相続するのかで税制も少し変わってきます。
また、自分の子どもだけに相続をするのか、孫の代まで相続対象とするかで相続税の税率も変わります。こういった内容が相談できるのが生前整理アドバイザーです。
生前整理アドバイザーの資格を持った方のことを生前整理診断士と呼び、こういった資格を持った方に相談をするというのもおすすめです。
https://www.seizenseiri.net/
・資産の相続という観点では、家族信託を使う人も出てきています 最近では、生前整理において、「家族信託」を使う方が増えています。家族信託とは何なのか? についても説明していきます。 -家族信託とそのメリット-
相続対策の一環として、自分の相続対象である財産を定めることで孫の代まで遺産継承をできるようにした制度になります。
財産を相続したい方が亡くなる前に自分の資産を継承した場合は、「贈与税」の対象になりますが、亡くなった後に相続した場合は「相続税」の対象になります。 また、死亡保険金は遺産分割の対象にはならないため、生前贈与と相続(遺書)、生命保険を合わせて相続対策をしてくことが相続対策としては一般的です。
これを第三者に依頼して行ってもらうのが「家族信託」です。
まとめ
他人に迷惑をかけずに身の回りの物を整理できるだけでなく、残された人への感謝を伝える機会や自分の人生を振り返る機会にもなる生前整理。
今回のポイントは、 ・生前整理には、不用品の整理と遺産の整理に分けられる。 ・相続する物 / 死後、処分してもらうもの / 今処分するものに分けるのがいい。 ・処分は、大きいものがたくさんある場合は業者に頼む。 ・相続を考える際は、「生前贈与」「保険金での相続」「遺産としての相続」に分ける ・「家族信託」を使えば孫の代まで相続できるため、遺産をできるだけ多く遺族に渡すことが可能 上記の5点になります。
こちらを参考に、生前整理を賢く行ってみてください。