物が溢れ、悪臭が漂い、住環境の悪さを物語るゴミ屋敷。その状況を再現してしまう人がどんな心理状態なのか、気になりますよね。
ちょっと人とズレた心理状態なのだろうと客観的に捉えがちですが、実は心理状態が特別という訳ではありません。誰でも陥りやすい心理が原因であることが多いです。
さらに心理状態だけではなく、ゴミ屋敷になる原因は、自分では気づけない「病気によるもの」の可能性もあります。
そこでこのコラムでは、ゴミ屋敷になってしまう人の心理や原因となり得る病気、ゴミ屋敷にならないための解決策などを紹介していきます。
これを読めば、ゴミ屋敷から脱出してより良い生活が送れるようになります。
目次
ゴミ屋敷になってしまう人の心理とは?
ゴミ屋敷になってしまう人の心理は、基本的に共通しています。その代表的な心理状態が以下の3つです。
- 物を捨てるのがもったいなく感じる
- 片付けるのが苦手・面倒だと感じる
- 部屋が物で溢れていても気にならない
3つの中でもゴミ屋敷の第一歩となるのが「物を捨てるなんてもったいない」という考え方です。例えば、段ボール、ティッシュの空き箱、牛乳パックなど、明らかなゴミであっても「何かの時に使えるかも」と思い、捨てたら後悔するという心理が働きます。
そして、その行為をゴミ屋敷へと加速させる可能性があるのが「片付けるのが面倒」「溜まってきたけど気にしない」という心理です。
捨てずに残しておいたゴミを片付けることや捨てに行くのを面倒だと感じたり、ゴミが散らかっていても気にならないというケースです。このレベルまで達すると、どんどんゴミが溜まり、ゴミ屋敷になる場合がほとんどです。
ゴミ屋敷に住む人の心理の奥にあるのは?病気が原因の場合も
ゴミ屋敷に住む人が部屋を一向に綺麗にしない原因は、実は病気である可能性もあります。疑われる病気や癖は以下の10個です。
- ADD・ADHD
- 強迫性貯蔵症
- 強迫性障害
- もったいない症候群
- 認知症
- うつ病
- セルフネグレクト
- 総合失調症
- アスペルガー症候群
- 収集癖のある人
それぞれの具体的な概要や、どんな部分がゴミ屋敷と通ずるのか、下部で詳しく解説していきます。
住人の心理・疑われる病気① ADD・ADHD
ADDはの別称は「注意欠陥障害」、ADHDは「注意欠陥・多動性障害」と言います。基本的な注意欠陥が変わらないため、一括りにされることも多いですが、ADHDの方がより行動に落ち着きがないケースが該当します。
これらの症状の具体的な特徴としては、気が散りやすい・忘れっぽい・衝動買いをしやすいなどが挙げられます。
たとえば、行動例として以下のようなことが考えられます。
- 部屋の片付けをしていたのに、外の物音が気になって外に出かける
- ゴミを捨てようと思っていたのに洗濯を始めたら、何をしようとしたのかを忘れる
- 整理整頓をしたいのに目の前に色んなものがありすぎて何から始めたらいいか分からない
- 安いから・気に入ったからといって同じものを何個も買ってしまう
片付けたいとは思っているものの、なかなか思うように進まないという人が、当てはまる可能性があります。
住人の心理・疑われる病気② 強迫性障害
強迫性障害(OCD)は強いこだわりや不安を感じるもので、強迫観念と強迫行為の2つの症状があります。強迫観念は一度頭に浮かんだら離れない考えのことで、強迫行為はしないと気が済まない行動を指します。
強迫観念と強迫行為は関連性があり、具体的な行動としては以下のようなことが考えられます。
- ここで手放すともう手に入らないという考えが浮かび、物を捨てられなくなる
- 大切なものを捨てていないかと不安になり、物の片付けの取捨選択ができなくなる
- 常に自分は清潔でいたいと思い、不衛生なゴミに触れることができなくなり捨てられない
最後に挙げた行動例は、一般的に見れば、ゴミを捨てれば清潔になるからその方が良いと分かると思います。
ですが、強迫性障害の人は「自分が清潔でいなくてはいけない」という強迫観念から、「汚いものを排除しないといけない」強迫行為につながり、最終的には「ゴミは不衛生だから触れない」という考えに陥ります。
住人の心理・疑われる病気③ 強迫性貯蔵症
強迫性貯蔵症は強迫性障害の一つとされ、ホーディング・ため込み症とも言われます。具体的な症状は、部屋に置くスペースがないのに物を捨てない・気になったものをとことん溜め込み、それを捨てるときは不安に駆られるなどが挙げられます。
とくに本・雑誌・レシート・新聞紙・レジ袋など、他の人から見るとあまり役に立たないものや比較的安価なものをため込むケースが多いようです。
気になるものや思い入れのあるものを捨てられないというのは、経験する人も多いです。ですが、あまりにも行き過ぎていると、病気を疑った方が良いかもしれません。
住人の心理・疑われる病気④ もったいない症候群
もったいない症候群とは心理の部分で触れた「物を捨てるのがもったいない」というものと同様で、どんなものであっても、もったいないと思うことです。
とくに一般的なものではなく、ご飯の食べ残し、使用済みのティッシュなど捨てた方が良いものを残しておく傾向があります。
住人の心理・疑われる病気⑤ 認知症
認知症は記憶障害・判断力の低下などの症状がある病気です。具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 一度買っていることを忘れて何度も同じものを買ってくる
- ゴミ出しの日を忘れてゴミ捨てに行けない
- ゴミであるという認識がなくなる
これらの事例が1回で終われば問題ないのですが、何度も繰り返し続くことで、どんどんゴミが部屋に溜まっていきます。
住人の心理・疑われる病気⑥ うつ病
うつ病は代表的な精神病の一つとされるもので、症状は無気力、意識の低下、倦怠感、疲労感などさまざまです。
たとえば、疲れすぎて何もしたくないという感情から「片付けをしない」「ゴミを捨てに行かない」など、部屋を綺麗に保つための最低限の行動さえできなくなります。
ほかにも「食事を作る気力が起きない」という感情から、コンビニなどでお弁当を買う頻度が増えることが多くなります。
そして、そのゴミを捨てに行く気力がないため、部屋にゴミが溜まるという悪循環が起こり、ゴミ屋敷になってしまいます。
また、うつ病の症状は一次的なものではなく、自力で解消できないと長期的あるいは慢性的に続いてしまう傾向があります。
住人の心理・疑われる病気⑦ セルフネグレクト
セルフネグレクトとは、自己放任とも言われ、自分自身の日常生活がどうでも良くなってしまう症状です。
その代表的な症状の中には「家の掃除に関心が持てない」というものがあります。たとえ家に多くのゴミが溜まっていても、何も感じることがないためゴミ屋敷を作り出します。
住人の心理・疑われる病気⑧ 統合失調症
統合失調症はストレスや疲労から発病されると言われている精神疾患です。具体的な症状は妄想や幻覚、物をため込む、意識の低下などが挙げられます。
とくに他の病気と異なるのが、妄想や幻覚にとらわれることです。ゴミが部屋に溜まっている状態を正しいものだと認識して、片付けることを放棄します。
また、ゴミをゴミと認識せず、どんなものでも自宅へ持ち帰って溜め込むという傾向があります。
住人の心理・疑われる病気⑨ アスペルガー症候群
アスペルガー症候群は発達障害の一種で、症状としては、他の人と興味関心が異なる・整理整頓が苦手などが挙げられます。
さらに具体的に解説すると、「他の人が集めたがらないようなものを集める」「自分の中で片付けが必要だという認識がない」という偏った考えを持つことがあります。その考えがあるため、不要なものをため込み、片付けをしないのです。
さらには完璧主義という傾向もあります。片付けをしようと意気込んだ場合でも「どこに何を置けば良いか分からない」「上手く整理整頓できないなら片付けをしたくない」という心理が働き、片付けをしないというケースがあります。
住人の心理・疑われる病気⑩ 収集癖のある人
収集癖のある人はコレクターとも言われ、多くのものを集めたがるという特徴があります。病気ではないですが、あまりにも集める量が多かったり、それを片付けられない場合は注意が必要です。
また、収集癖のある人の中には、一度捨てたお菓子の袋や、お弁当のプラスチック容器などに珍しさを見出す人もいます。
ゴミ屋敷にならないようにする解決法
ゴミ屋敷になってしまう理由には、心理や病気など特別な要因もありました。これらの要因を解決するにはどうしたら良いのでしょうか。
実はゴミ屋敷化を防ぐための方法は難しいものではなく、すぐに行動に移せる2つの方法があります。
- メンタルケアをする
- 片付けと掃除をする
それぞれ具体的に解説していきます。
ゴミ屋敷にならない解決法① メンタルケア
ゴミ屋敷の原因となる心理状態や病気は、ストレスなど精神的なものからくる場合も多いです。そのため、まずはメンタルケアを取り入れてみましょう。
メンタルケアの方法は「自分でおこなう」もしくは「病院やカウンセリング機関を利用する」の2つです。
まず、自分でおこなう場合は以下の3つの方法を試してみてください。
- 小さなことでも自分を肯定したり褒める
- コップをしまうなど片付けの成功事例を積み重ねる
- 適度に体を動かす
どれも小さいことではありますが、日頃から誰でも簡単にできるものばかりです。ですが、それでも難しそうだと感じる場合は、病院やカウンセリング機関など、ほかの誰かに頼るのがおすすめです。
どういった方法であれ、精神状態を安定させることで、日常生活を前向きに過ごしやすくなります。そうすれば、ゴミ屋敷にする要因を減らすことができます。
ゴミ屋敷にならない解決法② 片付ける・掃除をする
メンタルケアをおこなって精神が安定してきたら、片付けや掃除に取り組んでみましょう。今まで取捨選択できなかったものを捨てられたり、物を綺麗に整頓したりと作業がはかどりやすくなります。
具体的な片付け・清掃方法は次章で解説していきますので、このまま読み進めていってください。
ゴミ屋敷を片付ける方法!事前準備と片付けの手順を押さえよう
ゴミ屋敷を片付ける気が起きたら、まずは片付け作業に取り掛かる前に、簡単な準備や手順を把握しましょう。事前に把握しておくことで、作業途中で「物が足りない」「思ったより上手くいかない」などの認識齟齬がなくなり、作業が中途半端になることを防げます。
ゴミ屋敷の片付けの流れは以下の通りです。
- 害虫駆除をする
- 玄関などの入り口を片付けて導線を確保する
- 明らかなゴミを捨てる
- モノを仕分けて捨てる
- ゴミを全て運び出して清掃する
自力では片付けられないときはゴミ屋敷清掃のプロに依頼
準備や手順を理解したら「本当に自分でゴミ屋敷を片付けられそうか」検討してみてください。もし無理そうだと判断した場合は、ゴミ屋敷のプロである清掃業者に頼むのも良いでしょう。
プロに依頼する場合は、悪徳な業者を選ばないようにサービス内容や料金プランを確認することが大切です。色んな項目を吟味したうえで、おすすめしたい業者を3つ紹介します。
どの業者も電話で相談に乗ってくれるので気軽に問い合わせてみましょう。
まとめ:心理や病気を改善してゴミ屋敷の片付けをしよう
このコラムでは、ゴミ屋敷になる人の心理と疑われる病気、ゴミ屋敷にならないための方法について解説しました。
- ゴミ屋敷になってしまう人は、物を捨てるのがもったいない・片付けが面倒・物が多くても気にならないという心理状態が働く傾向がある
- ゴミ屋敷になる原因は、9個の病気と1つの癖の可能性もある
- ゴミ屋敷の原因を解決するにはメンタルケアをすることが大切
- 自分でゴミ屋敷の片付けができない場合はプロに頼む手段も有効的
ゴミ屋敷になるには、ただ片付けられないという簡単なものではなく、共通の心理状態や、病気である可能性があります。
心理や病気は誰でもなり得るものなので、ゴミ屋敷に住む人の心理状態や原因となり得る病気を理解して、いざ自分がその場面に出くわしたときに解決できるようにしておきましょう。
また、心理状態や病気を少しでも防ぐために、日頃から紹介したメンタルケアを実践して、精神的に安定した状態をつくっておくことも大切です。
まずは、自分が取り組めそうなことから始めて、ゴミ屋敷を綺麗にしてみてください。